エドゥアール・マネ

エドゥアール・マネ『横たわるボードレールの恋人』

エドゥアール・マネ『横たわるボードレールの恋人』エドゥアール・マネ『横たわるボードレールの恋人』 1862年

印象派の父エドゥアール・マネが、1862年に描いた『横たわるボードレールの恋人』。

白いドレスを着た女性が、ソファの上に、脚を投げ出すようにして座っています。

絵のモデルの女性は、詩人ボードレールの愛人で、ハイチ生まれの女優ジャンヌ・デュヴァル(Jeanne Duval)。モデルの年齢は当時42歳頃で、病のため半身付随でした。

ボードレールが、デュヴァルに対する熱い想いを綴った詩に『髪のなかの半球』があります。

ずっと、そう、ずっとこのままで、お前の髪の香りを嗅がせておくれ。喉が渇いたやつらが泉に頭をつっこむように、お前の髪に埋もれて、すばらしい香りの滲みたハンカチのようなこの手でお前の髪を撫であげ、思い出のすべてを風にときはなってしまいたい。

私が見たものを、お前に見せてやれたら! 私が感じた感覚、私が聞いた物音すべてが、お前にもわかるとしたら、なんてすばらしいことだろう! ひとびとが音楽にのってダンスをするように、きっと私の魂はお前の香りに酔いしれそこいらをさすらいはじめることだろう。

シャルル・ボードレール『髪のなかの半球』

マネとボードレールは若い頃からの友人でもあり、マネはボードレールの影響を深く受けます。

マネが1865年のサロンに出展した『オランピア』で大きな非難を浴びた際には、ボードレールに次のような文面の手紙を送っています。

あなたがここにいて下さればと思います。罵詈雑言が雨あられと降り注ぎ、僕はかつてこんな素晴らしい目に遭わされたことはありません。

ボードレールに宛てたマネの手紙

題名 : 横たわるボードレールの恋人(ないしは愛人) 制作年 : 1862年 サイズ : 89.5×113cm